みなし解散通知が届いたら、まずは以下の内容を確認してください。
- 対象会社名と会社法人番号
- 解散とみなされる予定日
- 事業継続の意思表示の期限
- 提出が必要な書類(例:「事業継続届出書」など)
この通知を放置して期限を過ぎると、自動的に解散登記がされてしまいます。実質的な活動がなくても、会社名義の銀行口座、不動産、契約などがある場合は、解散登記が思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
4. 会社を継続させる手続きの流れ
事業を継続したい、または将来再開する可能性がある場合は、以下の手続きを行うことで解散を免れることができます。
① 株主総会の開催
「会社を継続する」旨の決議を株主総会で行います。
② 必要書類の準備
- 株主総会議事録
- 役員変更がある場合はその登記申請書
- 継続登記申請書
③ 法務局への申請
通知に記載された期限内に、法務局に申告を行います。まだ実在していることを書面で提出することになります。
これにより、「みなし解散」は回避され、会社は継続することができます。
ただし、遅滞なく遅れている登記をしなければなりません。
5. すでに解散扱いになってしまった場合の対応
もし、対応が間に合わず、すでに解散登記がされてしまった場合でも、継続登記という手続きを行うことで、法人格を復活させることが可能です。
継続登記の手続き:
- 株主総会で「会社継続」の特別決議を行う
- 清算人が選任されている場合はその解任も決議
- 取締役・代表取締役の再選任(必要があれば)
- 継続の登記申請(会社継続登記、役員変更登記など)
また、解散登記から長期間が経過していると、登記官が実体審査を強化する傾向があります。書類不備による補正や却下もあり得るため、早めに専門家へ相談するのが望ましいです。
6. まとめ:事業が止まっていても「会社」は生きている
休眠状態のまま長期間放置された会社は、「もう事業をしていないだろう」として法務局からみなし解散の対象にされます。しかし、登記上解散したことになってしまうと、会社名義の資産や権利義務関係に影響が生じ、思わぬリスクを抱えることになります。
私が経験したのが、会社所有の乗用車の処分をしようと思っても、みなし解散が入っており、代理できる清算人の登記をしないことには、自動車の名義を変えることができないという事態に陥った方がいました。清算人の登記を済ませ、法人印の登録も行い、無事自動車の名義を変えて処分することができました。
一方で、適切な手続きを行えば、事業継続も会社の復活も可能です。「みなし解散通知が来た=会社が終わった」というわけではなく、対応すれば守れる法人格であることを理解しておきましょう。
ただし、復活させるにしても、許認可が関連するような内容ですと、「選任懈怠」はまずいです。許認可を失う場合も出てくるかもしれません。「登記懈怠(選任はしていたが登記をするのを忘れていた)」にすれば許認可は守れますが、登記懈怠の過料が科されます。
次回(第5回)では、解散後に法人名義の資産が残っていた場合にどのような問題が起こるのか、また、清算人の責任について詳しく解説します。