清算人が選任されたら、2週間以内に法務局へ登記を申請しなければなりません。怠った場合には過料(行政罰)が科される可能性があります。
【主な提出書類】
- 登記申請書
- 株主総会議事録(清算人選任決議を含む)
- 清算人の就任承諾書
- 清算人の印鑑届書
- 印鑑証明書(必要に応じて)
法人印は、解散後も清算人が引き継いで使用しますが、清算人個人の印鑑登録も必要になるケースがあるため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
4. 清算人の業務内容(債権回収・債務弁済など)
清算人の主な業務は、会社の債権を回収し、債務を弁済することです。以下のような業務を順序立てて進めていきます。
- 売掛金・貸付金などの債権回収
- 仕入債務・借入金などの支払
- 資産(不動産や在庫等)の売却
- 残余財産の株主への分配
- 帳簿や契約書などの整理・保管
これらの業務は会社の取引先、金融機関、税務署などと連携しながら進めていく必要があり、法的・実務的な知識が問われます。
また、債務超過状態にある場合には、会社更生や破産手続きに移行せざるを得ないこともあります。清算人はその判断も含め、経営責任を負う立場となります。
5. 税務署や年金事務所等への届出との関係
解散後、清算人が行うべき手続きは登記だけにとどまりません。税務署や年金事務所などへの届出も忘れずに行う必要があります。
【主な届出先と内容】
- 税務署:異動届出書、清算人の就任届、解散確定申告、清算確定申告など
- 都道府県税事務所・市区町村:法人事業税、住民税等の異動届
- 年金事務所:健康保険・厚生年金の適用終了届など
- 労働基準監督署・ハローワーク:労働保険の清算手続きなど
登記とこれら届出は別個に管理されているため、いずれかを忘れると後々トラブルになります。特に税務署への届出は、申告義務の発生と関係するため、期日厳守が求められます。
6. まとめ:清算人の選任と登記は解散後の要所
会社の解散は、あくまで手続きの「入口」にすぎません。その後の清算手続きを着実に進めるためにも、まずは清算人を適切に選任し、速やかに登記を完了させることが不可欠です。動機自体は、解散と清算人の就任・選任と同時に行います。
清算人の役割は、会社の「最後の舵取り役」です。債権者や株主の信頼を損なわず、法令に則った円滑な手続きを実現するためには、専門家の助言を受けながら進めるのが望ましいでしょう。
次回(第3回)では、いよいよ会社を完全に消滅させる「清算結了登記」について、残務整理と法的完了の視点から詳しく解説していきます。