【第5回】本店移転登記の完全ガイド|同一市区町村内・管轄外への移転手続きの違いとは?

2025年06月20日

「オフィスを移転したけど、登記って必要?」「本店を別の市に移すけど、何か手続きがあるのか?」——法人の住所を変更した際に必要になるのが本店移転登記です。

登記上の本店とは、会社の主たる事務所(所在地)を指し、会社のアイデンティティを示す重要な情報の一つです。法人の名刺や契約書、銀行手続きなどにも使用されるため、住所が変わったら登記変更が不可欠です。

本記事では、本店移転の登記が必要な理由、同一市区町村内と管轄外移転の違い、定款変更の要否、必要書類や登録免許税まで、司法書士の視点からわかりやすく解説します。

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【目次】

  1. 本店移転登記が必要になるケースとは?
  2. 同一市区町村内の移転と異なる市区町村への移転の違い
  3. 管轄外移転の際に必要な「登記所の移動」とは?
  4. 定款変更の必要性と決議方法
  5. 登記手続きの流れと必要書類
  6. 登録免許税と司法書士報酬の相場
  7. 本店移転にともなう届出関係(税務署・銀行等)
  8. まとめ:移転後は早めの登記申請を!

1. 本店移転登記が必要になるケースとは?

 法人の本店所在地を変更した場合は、必ず登記変更を行う必要があります。たとえ実際の業務拠点が移転していなくても、登記上の「本店」の住所を変えたら、登記申請が必要です。

 変更登記を怠ると、取引先からの信頼低下や郵便物の未着、金融機関での手続き遅延などが発生するほか、過料(10万円以下)の対象になる場合もあります。

2. 同一市区町村内の移転と異なる市区町村への移転の違い

 本店移転登記は、「移転先が同一市区町村内かどうか」で手続きが異なります。

  • 同一市区町村内(例:新宿区内→新宿区内)
     → 原則として取締役会(または代表者)決定のみでOK。定款の記載が「東京都新宿区」のように大まかな場合は定款変更不要。
  • 異なる市区町村へ(例:新宿区→渋谷区)
     → 定款の本店所在地の記載変更が必要になり、株主総会等の特別決議が必要

 さらに、移転先の法務局(登記所)の管轄が変わる場合には、登記申請も2か所に提出することになります。

3. 管轄外移転の際に必要な「登記所の移動」とは?

 たとえば、東京都新宿区から神奈川県横浜市に本店を移転する場合、登記所の管轄が変わるため、登記申請も2度必要です。

 この場合は、

  • 旧管轄(新宿出張所)に「本店移転による閉鎖登記」申請
  • 新管轄(横浜地方法務局)に「本店設置登記」申請

 このように、移転日を挟んで、管轄の両方に登記を行う必要があるため、スケジュール管理が重要です。

4. 定款変更の必要性と決議方法

 本店所在地が定款に「○○区」や「○○市」と明記されている場合、その地名を変更する必要があります。その際には、以下のような決議が求められます。

  • 株式会社:株主総会の特別決議(議決権の過半数出席+3分の2以上の賛成)
  • 合同会社:社員の同意(全員一致が原則)

 同一市区町村内の場合、定款の記載を変更しない限り、決議は不要なケースもあります。

5. 登記手続きの流れと必要書類

 以下は、登記手続きの一般的な流れと書類です。

手続きの流れ

  1. 決議(取締役会や株主総会)
  2. 移転日(会社が移転した日)
  3. 移転日から2週間以内に登記申請(管轄外の場合は旧・新双方)

必要書類

  • 株主総会議事録または取締役会議事録
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書(移転に伴い印鑑を変更する場合)
  • 定款の写し(変更箇所)
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

6. 登録免許税と司法書士報酬の相場

登録免許税

  • 同一管轄内移転:3万円(定額)
  • 管轄外移転:3万円 × 2(合計6万円)

司法書士報酬(参考)

  • 同一市区町村内:3万〜
  • 管轄外移転:4万〜8万円程度(複雑さによる)

※法人印や登記事項証明書の取得費用などは別途。

※管轄外移転と同時にする変更登記については、別に費用が発生します。

7. 本店移転にともなう届出関係(税務署・銀行等)

 登記変更後は、以下の機関にも届け出を行う必要があります。

  • 税務署・都道府県税事務所・市区町村役所(異動届)
  • 年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署(従業員がいる場合)
  • 金融機関(銀行):住所変更届、印鑑変更届など
  • 取引先・顧客:郵送物や契約書住所の変更対応

 特に許認可事業を行っている会社は、行政庁への届出が必須になる場合があります。移転前に確認しておくことが大切です。

8. まとめ:移転後は早めの登記申請を!

 本店移転は、会社にとって重要な転機です。
 しかし、登記や行政手続きが不十分だと、信頼の損失や手続きの停滞を招きます。

 ✅ 同一市区町村内かどうかで、定款変更の要否が変わる
 ✅ 管轄外移転の場合は、2つの法務局への申請が必要
 ✅ 登記申請は移転日から2週間以内が原則
 ✅ 登録免許税と専門家報酬の把握を事前に
 ✅ 関係官庁・金融機関等への届出も忘れずに!

 本店を移したら、法務局への登記とともに、税務・労務・実務の整理まで一貫して対応するのがスムーズです。
 複雑な場合は、司法書士や税理士に相談して、確実な手続きを行いましょう。

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