商号変更には、定款の変更が必要です。具体的な手続きは以下の通りです。
- 株主総会(合同会社は社員総会)を開催し、「商号変更」の特別決議を行う
- 定款を変更し、新しい商号を定める
- 特別決議日から2週間以内に登記申請
- 登記完了後、税務署・銀行・取引先などに新商号の届出を行う
特別決議とは、議決権の過半数以上を有する株主の出席と、そのうちの3分の2以上の賛成が必要です。
代表者一人だけの会社であっても、議事録などはきちんと整備する必要があります。
4. 登記申請に必要な書類と登録免許税
商号変更登記の際に必要な主な書類は次のとおりです。
- 株主総会(または社員総会)議事録
- 登記申請書
- 印鑑届出書(印鑑変更がある場合)
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
- 登録免許税:3万円(定額)
また、印鑑(会社実印)に社名が含まれている場合は、新商号にあわせて実印を変更・届出する必要があります。
5. 商号変更時の注意点(類似商号・許認可・印鑑)
商号変更を行う際には、以下のような点に注意が必要です。
■ 類似商号の確認
2006年の会社法改正により、同一住所でなければ「同一・類似商号」の登記が可能になりました。しかしながら、既にある有名企業と紛らわしい名前を付けると、不正競争防止法などで訴えられる可能性があります。事前に**商号調査(商業登記簿+商標登録の検索)**をしておくのが安全です。
■ 許認可の影響
宅地建物取引業や古物商など、許認可事業に関わる会社では、商号変更に伴い行政庁への変更届出が必要になることがあります。
■ 印鑑の変更・再届出
商号を刻んだ実印を使っている会社は、新商号で印鑑の作り直しと届出が必要です。古い印鑑証明書は使用不可になります。
6. よくある質問(Q&A)
Q. 商号変更とあわせて本店移転もしたい場合はどうすればいい?
→ 同時に登記できます。変更項目ごとに申請書を作成しますが、登録免許税は合算で計算されます。
Q. 取引先にはいつ報告すべき?
→ 登記が完了した後が望ましいですが、事前に案内を出す場合もあります。特に銀行口座や契約書類には注意が必要です。
Q. 商号変更後も旧社名を使い続けていい?
→ 原則としては新商号を使う必要がありますが、広告などで「旧○○株式会社」などと併記するのは実務上認められています。
7. まとめ:会社名の変更は信頼を保つためにも登記を忘れずに!
商号変更登記は、単なる"名乗りの変更"ではなく、会社の対外的な信用と信頼に直結する大事な法的手続きです。
✅ 定款変更が必要(株主総会・社員総会の特別決議)
✅ 登記は決議から2週間以内に申請
✅ 許認可や印鑑、銀行手続きにも注意
✅ 類似商号やブランド混同にも配慮を
「社名を変える=会社の顔を変える」という意識で、きちんと法的な手続きを踏みましょう。
迷ったときは、専門家(司法書士)に相談することで、無駄な手間やトラブルを避けることができます。
次回(第5回・最終回)は、「本店移転登記」について解説いたします。県外移転や支店との統合など、住所変更時の実務的なポイントを取り上げます。