株式会社の場合、解散を決定するには、原則として株主総会の特別決議が必要です(会社法第471条1号)。
この特別決議には、以下の要件を満たす必要があります:
- 発行済株式総数の過半数の株主が出席
- 出席株主の3分の2以上の賛成
この決議で解散を決定したら、その内容を記した株主総会議事録を作成します。後に解散登記の添付書類として提出するため、議事録の形式や署名捺印などは法的要件に従って正確に作成する必要があります。
また、解散と同時に清算人を選任するのが一般的で、その人選についても議事録に記載します。清算人については次回の記事で詳しく説明します。
4. 解散登記に必要な書類一覧
解散登記の申請に際しては、法務局に以下の書類を提出します:
- 解散登記申請書
- 株主総会議事録(解散および清算人選任決議)
- 清算人の就任承諾書
- 印鑑届書(新たに清算人の印鑑を届け出る場合)
- 登録免許税(3万円)※清算人選任・就任は別途9000円必要です。
※オンライン申請にも対応していますが、添付書類の電子化や署名方法に注意が必要です。
5. 解散登記の期限と注意点
解散の決議をしたら、2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行わなければなりません(会社法第915条1項)。
この期限を過ぎると、「過料」の対象となる可能性があります。
また、登記が完了しても、税務署や都道府県税事務所などへの異動届も忘れずに行う必要があります。登記と並行して、税務・社会保険など他の関係機関への手続きも計画的に進めましょう。
6. 次のステップ「清算」へ
解散登記が完了したら、次に進むのは清算手続きです。これは、会社に残っている財産や債務を整理し、最終的に法人を消滅させるプロセスです。
清算人が中心となって、債権回収・債務の支払い・残余財産の分配などを行い、すべての処理が完了した後に「清算結了登記」を行うことで法人は正式に消滅します。
この「清算」のプロセスについては、次回の記事で詳しく解説いたします。
まとめ
法人をやめるには、単に「営業をやめる」だけでなく、「解散登記」から始まる法的な手続きが必要です。株主総会での決議、議事録の作成、必要書類の準備など、登記申請には一定の準備期間が必要なため、計画的に進めることが大切です。
次回は、解散後に行う「清算人の選任と清算手続き」について、より具体的に解説していきます。