医療法人を解散するには、以下のようなステップを踏む必要があります。
- 社員総会の開催と解散決議
- 都道府県知事への認可申請
- 解散登記(法務局)
- 清算人の選任と登記
- 債務の清算と資産整理
- 残余財産の寄付・引き渡し
- 清算結了登記
※特に都道府県知事の認可が必要な点が、通常の法人解散と大きく異なります。
4. 解散に伴う主な書類
解散時には、以下のような書類の準備が必要です(都道府県により様式の指定あり)。
- 解散認可申請書
- 理事長による解散理由説明書
- 社員総会議事録
- 医療機関廃止届(診療所など)
- 財産目録および貸借対照表
- 定款・寄附行為
- 清算人選任届出書
書類の不備や記載内容の不整合があると認可が下りず、手続きに時間を要するため慎重な作成が求められます。
5. 残余財産の取り扱い
医療法人が解散する際、法人に残った財産(残余財産)は国・地方公共団体、他の医療法人、公益法人など非営利性を有する法人に寄付しなければなりません。
この原則は、医療法人が営利法人ではなく、公益性を持つ存在であるためです。残余財産の取り扱いを誤ると、認可されず手続きが止まる可能性があります。
6. 解散後の清算と登記
解散認可を得た後は、法務局で「解散登記」を行い、法人の法的効力が終了したことを示します。その後、清算人が債務の整理、未収金の回収、財産処分などを行い、残余財産を寄付します。
最終的にすべての処理が終わると、「清算結了登記」をもって法人は完全に消滅します。
7. 解散に際しての注意点
以下の点には特に注意が必要です。
- 医療機関の廃止届は別途提出が必要(保健所などへの提出)
- 解散後の社会保険・労務関係の手続き(従業員がいる場合)
- 解散前後の帳簿保存と税務対応
- 残余財産の寄付先選定には、事前に調整・相談が必要
また、解散・清算にかかる期間は概ね3〜6か月以上かかるため、スケジュールに余裕を持って進めることが重要です。
8. まとめ
医療法人の解散は、設立とは異なる複雑なプロセスを伴います。特に公益性の観点から都道府県の認可が求められたり、残余財産の寄付先が限定されていたりと、通常の法人と比べて手続きの負担が大きい点が特徴です。
解散を検討されている方は、早い段階で専門家(司法書士・行政書士・税理士など)と相談しながら進めることで、リスクを最小限に抑え、スムーズな解散・清算が可能となります。